士司
↑こんな言葉ホントはありません*1が、mixiでちょっと盛り上がったので調べてみました。職業名における「士」と「司」と「師」の違い。長いよ。
「意味」部分の引用出典はMy Sweet STEDMAN先生*2に同梱されている『学研漢字源新版』によります。
士
意味
1. おとこ、青年のおとこ、ひとりだちする成人したおとこ。【対】:女→「士女(若い男女)」
2.中堅の役人層。
3.春秋・戦国時代以降に生じた知識人。のち広く、学問や知識によって身を立てる人のこと。「士不可以不弘毅=士ハ以テ弘毅ナラザルベカラズ」〔→論語〕
4.身分で、士・農・工・商の四階層の最上の層、官僚の母体となる知識人の層。「無論大家小家士農工商=大家小家、士農工商ヲ論ズル無シ」〔→曾国藩〕
5.「士師(昔の司法官)」の略。
6.りっぱな男子。「人士」「壮士」
7.兵隊。近代は特に、士官のこと。「兵士」「士兵」
8.さむらい(サムラヒ)。武士のこと。
9.一定の職業、または資格のある人。「弁護士」「代議士」
使い分け
「中堅の役人層」、「学問や知識によって身を立てる人」の意から、「専門の技術・技芸を修めた者」の意味として用いる。
- 保育士
- 栄養士
- 弁護士
- 行政書士
また、男女の区別をする際に男性側を表す語として用いる。
- 看護士
- 保健士
司
意味
1. つかさどる、役目を担当する。一つの仕事に通じる。
- 一事に通じてそれを担当する者を「有司」(役人)と称した。
- 訓の「つかさどる」は「つかさ」+「とる」から。「司法=法ヲ司ル」「司書」
2.つかさ。役目を担当する人。役人。
- 昔は担当官を「有司」「所司」といい、近代では「司事」「司務」という。
3.役目の名。
- 周代の制では、司馬(兵馬を担当)・司徒(教育を担当)・司空(土地・人民のことを担当)などの役を置いた。のち、姓ともなる。「司馬遷」
4.役所。
- 清代には布政司(藩司ともいい、税務担当)や按察司〔アンサツシ〕(刑法担当)などの役所を置いた。
5.つかさ。役目の名。
使い分け
「役目を担当する人」「役所」の意から、「その役に責任を持つ者」の意味として用いる。
師
意味
1.いくさ。集団をなした軍隊。
- 周代には二千五百人を一師といった。
- 【類】→旅。「師旅(軍隊)」「師団」「行師=師ヲ行ル」
2.おおぜいの人々。「京師〔ケイシ〕(人々の集まる都)」
3.先生。学問を多くの人に教える人。また、宗教上の指導者。【対】→弟〔テイ〕(でし)。「先師(なくなった先生)」「牧師」「可以為師矣=以テ師ト為ルベシ」→〔論語〕
4.先生とする。手本として学ぶ。「師事」「莫若師文王=文王ヲ師トスルニ若クハナシ」〔→孟子〕
5.昔の音楽や礼儀の専門家。「師摯〔シシ〕(魯〔ロ〕の音楽の先生の名)」「師冕見=師ノ冕見ユ」〔→論語〕
6.芸に通じた親方。 【対】→徒(でし)。「画師」「薬師」
7.周易の六十四卦〔カ〕の一つ。坎下坤上〔カンカコンショウ〕の形で、多くの人を統率する意を表す。
使い分け
「学問を多くの人に教える人」「昔の音楽や礼儀の専門家」「多くの人を統率する」の意から、「集団を導く者・教え導く者」の意味として用いる。
- 牧師
- 宣教師
- 教師
- 導師
- 医師
- 薬剤師
- 仏師*3
*1:台湾で「土司」といえばトーストのこと:「芝士土司(zhi-shi-tu-si)」=チーズトースト
*2:id:Sengokuさんから無期限借受中の電子辞書
*3:これは「芸に通じた親方」の意より