体液

宮崎の雨が地面に当たったところ

終わりましたよ「体液とホメオスターシス」発表。イジワルM教授*1の突っ込みも入らず、最終組だったので学生からの質問もなく、まあ、寂しいといえば寂しいが恙ないといえば恙なく終わったわけです。


我が班はお題「血糖調節とその破綻」のうち特に血糖調節について重点的に扱ったわけでしたが、我々より前に「利尿薬の選択」について発表した班があり、その際に漢方の常用処方の一つである五苓散についての簡単な言及がありました。


その班は発表の最後に「五苓散について詳しいことはjcjilさんに聞いて下さい」といってさっさと終わっちゃったので、自分の班の発表ではスライド作りとスライド操作が担当で喋ることのなかった私は、また別の班の「Caイオン調節」についての発表を聞きながら適当に調べものをして五苓散についてスライドを一枚付け加えたのでした。




そのスライド (c) jcjil


五苓散は数ある漢方処方の中でも特にその有用性を指摘されており、熊本大学大学院医学薬学研究部・礒濱洋一郎助教授による薬理学的な作用機序の研究や千葉大学大学院和漢診療学講座・寺澤捷年教授*2によるEBM研究などが盛んに行われています。


それではここで、みんなのバイブル『中医臨床のための方剤学』(神戸中医学研究会編著・医歯薬出版)から、五苓散の解説を引用してみましょう。

五苓散(ゴレイサン)

出典
傷寒論
組成
猪苓9g 沢瀉15g 白朮9g 茯苓9g 桂枝6g*3
用法
水煎服 散にし一回3〜6gずつ服用しても良い
効能
利水滲湿・通陽化気
主治(1)
蓄水証(頭痛・発熱・口渇が強く水分を欲するあるいは水を飲むとすぐに吐く・尿量減少・舌苔が白・脈が浮など)
主治(2)
霍乱(突然の嘔吐・下痢・尿量減少など)
主治(3)
水湿内停(浮腫あるいは下痢で、尿量減少を伴う)
主治(4)
痰飲(臍下の動悸・水様物の嘔吐・めまいなど)
方意
利水滲湿・通陽化気によって小便を通利し、水湿を除去する主方である。主薬の沢瀉は膀胱に直達して利水滲湿に働き、淡滲の茯苓・猪苓は利水下泄を強め、白朮は健脾により水湿の運化を促進し、共同して三焦を通利させる。辛温の桂枝は、太陽表邪を外解するとともに、通陽により膀胱・三焦の気化を促し、水湿を蒸化して上承と下泄を回復させる。なお、利水滲湿を通じて、水湿下注による泥状〜水様便が消失するとともに小便が通利することから、水湿の「分利」と称される。蓄水証に対しては解表・利水滲湿・通陽化気により、霍乱には水湿の分利により、水湿内停には健脾化湿と分利により、痰飲には化気利水により、それぞれ効果をあらわす。


じめじめしたこの時期、よけいな水分が体にたまりやすいですね。私は昔から五苓散を愛用しております。


ところで。


さっきまで土砂降りで今はピーカン


これじゃあまだまだ入梅とはいかないようですな。

*1:Mなのに…でもまあ、私が教授だとしても学生にあのぐらいの突っ込みを入れているかもしれない:だからなおさら嫌だ

*2:当時は富山医科薬科大学和漢診療学講座教授

*3:日本で入手した生薬を日本の軟水で煎じるときは、全てを半量にする