細密
午後より組織学実習、ただ今帰宅。とはいえ、実際にスケッチをしていたのは14:00〜19:20*1。スケッチの前にI教授から組織細部の注意すべき点についてレクチャーがあったのだが、顕微鏡につながれている2つのモニターの前にそれぞれ50人程度の人間が群がらざるを得なかったため、教授のいない方は伝言ゲームで内容を理解する、という状況に。図説や教科書をひっくり返しながらああでもない、こうでもないと必死で画面を睨んでいたら、
- 私の声が大きい
- 私の話し方が説明口調
以上2点により、組織学実習室にいた私以外の人たちには「私が授業をしている」ように見えていたらしい。時には教授の説明を先取りして、
「ここは重層扁平上皮だから上の方になるほど薄くなっていくんじゃない?ほら、角質層」
などと大声で*2喋ってしまい、まわりはゲラゲラ笑い出す始末。こっちは必死なのだが。
実習開始直後、I教授がツカツカとやってきて、
「きみ、なかなかの評論家やなあ、覚えとくで」
と言ってニコニコと私の肩につるしてある名札*3を確認し、またニコニコと去っていった。
図らずも早速目をつけられてしまったようであるが、こちらとしてはそんなつもりではなかったので少々困惑。むしろ、極力目立たないように生きているつもりなのですよ。
さて、前にも書いたように私は絵が大の苦手なので、
- 単層扁平上皮:ボーマン嚢(腎臓)
- 単層立方上皮:集合細管(腎臓)
- 単層立方上皮:脈絡叢(脳)
- 単層円柱上皮:胆嚢
- 単層円柱線毛上皮:卵管
- 偽重層円柱線毛上皮:気管
- 重層扁平上皮:耳介
- 移行上皮:膀胱
の合計8枚のスケッチを描くのに、なんと5時間20分もかかってしまった。一枚あたり平均40分かけたことになる。その理由は簡単、
見えたものを全部書いたから
あとから知ったのだが、組織のうち重要なところを取り出して拡大して書けばよかったのである。確かに、×400でスケッチ中に
「もう少し倍率を上げて書きたいなー」
と思ったのだが、どうやらそこから先は自分の脳で倍率を上げることになっていたらしい。顕微鏡もお絵かきも小学校以来だから、そんなことには思いも至らなかった。
まあ、丁寧に書いたのでI教授はじめ先生方にはほめられたのだが、帰りにばったり会った第二外科のC先生にその話をすると、
「漫然とやっていたら6年じゃ終わりませんよ、アッハッハ」
といわれた*4。つまり、組織の実物を見てそれを模式図にして覚える、というのがこの実習の眼目なのだそうである。あとは繰り返しだから、全て書かなくてもよい。なるほどねー。
日暮れてなお道遠し、といったところか。