迷走
英語リスニング、故障などで436人が再テスト
(Yahoo! News 読売新聞)
「性善説に立っている」 センター部長、謝罪なし
(Yahoo! News 共同通信)
詳細は上のリンクから記事を読んで頂くとして、これは大学入試センター試験の英語リスニング試験で実に436人*1がICプレーヤーが試験中に不具合を起こした、と申し立て、当該受験生には
本試験の終了後に
再テストを受けさせ、
音声が聞こえなくなったところから改めて
解答させたあげく、責任者である部長が性善説をとなえたという「事件」であります。疑問点のいくつかをあげます。
- なぜ、大学入試センター試験に英語リスニング試験が必要なのか
- 大学入試は「大学入学資格」を問うものであることは自明であり、「大学入学資格」とは「大学で行われる研究・教育活動に必要な能力を備えている」ことに他なりません。日本の大学において、一部の外国語系学部を除いては専門科目の授業は英語で行われていないはずです*2。英語の授業は英語で行われることがありますが、英語の授業ですから最初から英語を聴解できなくてもいいわけです。
- 他の外国語筆記試験を受ける受験生も英語リスニング試験を受けるのか
- なぜ、途中からやり直させることを「再テスト」と呼ぶのか
- 通常再試験あるいは追試験と言えば、「同じ範囲で別の問題」が基本です。留年されては困るという理由で、各種学校の定期試験においてはしばしば再試験に本試験と全く同じ問題を課すことがありますが、入学資格試験でそのようなことがあれば前代未聞でしょう。試験実施の意味がなくなります。実際、大学入試センター試験には「追試験」と呼ばれるものがあり、本試験当日にやむなき理由で受験が不可能であったものに対して一週間後に別の問題を与えて解答させることになっています。性善説をとるか性悪説をとるかは個々人の思想の自由に任せるとして、リスニング試験も厳密に追試験の形を取るべきであったでしょう。百歩譲って同日に実施せざるを得なくても、当然別の問題を用意しておくのが大学入試センターの仕事といえます。
入試は水物、何をやっても勝ったやつの勝ち、とは常々私が生徒たちに言っていたことですが、出題側がつけいる隙を与えては攻め込む側もやる気をなくす、というものです。
ああ、あまりにもイライラしている時*4にあまりにも下らない事件が起きたので久しぶりに怒ってしまった。もう寝ます。