技能

なんならオリンピック競技にしてもいい

私は英語を教えたり、医学を学んだりしてきましたが、その一方で舞台演出家としての顔も持っています。今は地元を遠く離れて南のリゾート地で暮らしているので、なかなか「演出家」として演劇公演に関わるチャンスはないのですが、今年の夏は自主短編映画で演出補をつとめました。また来年の夏は舞台公演でやはり演出補をつとめる予定です。


その自主短編映画には出演もしているのですが、得意分野は演出で、演技はあくまでも余技と位置づけているため、どうも演技がしっくりと来ません。もちろん、演技経験がないわけではありません。幼稚園時代から大学まで何らかの形で演劇と関わる時、私の役割はいつも演技者でした。演出を始めたのは大学に入ってから後のことです。


演出を始めた理由にはいろいろありますが、その一つに「セリフ覚えが悪い」というのがあります。セリフを覚えるよりも、人の芝居を見てあれこれと言う方が性に合っている、というわけです。そこで疑問が生じました。


演技経験のない演出家は果たして存在するのか


いや、そもそも


演技経験のない人など果たして存在するのか


一般的に言うと答はノーでしょう。演技は、なにも舞台に立たなくても必要不可欠の技能だと私は考えます。会社では会社員、妻の前では夫、夫の前では妻、親の前では子供、子供の前では親、先生の前では生徒、生徒の前では先生、客の前では店員、店員の前では客、愛しい人の前ではそれなりに。生きている以上、何らかの形でみんながみんな演技しているわけで、それが上手であるに越したことはありません。演技に素人も玄人もなく、ただ本気とウソがあるだけではないか、と考えるのです。


とりとめもないことですが、ちょっと気になるトピックでした。因みに明日は解剖学実習試験(第2回)。現実逃避ということでも、ありました。