覚醒
哲学とは、眠りを誘うものだとばかり思っていた。どうやら最近はそうでもないらしい、というか、実際はそうでもなかったらしい。
- 作者: ミシェル・オンフレ,嶋崎正樹
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2004/11/26
- メディア: 単行本
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もしあなたが、「寝しなに読む本」としてこの本を選択しようなどと思っているのであれば、それは大間違いであり、私はあなたを命がけで止めるであろう。面白くて面白くて!などということでも、実はないのだが、読むにつけやめられず、朝は来そうなのにちっともページは進まない、というジレンマに陥ってしまうからである。
ちなみに、この本の原題は
antimanuel de philosophie
であり、無理に訳せば
哲学反教科書
であるが、なぜか邦題は
<反>哲学教科書
となっている。序文に原著者のMichel Onfrey氏はきちんと
よく間違われるのだけど、<反哲学>教科書ではない
と書いているにもかかわらず、わざわざ間違われるような邦題をつけてある、というわけだ。Onfrey氏は、
-
- <反>哲学教科書と訳されている部分→antimanuel de philosophie
- <反哲学>教科書と訳されている部分→manuel de antiphilosophie
と書いているはずなのだが。明晰をもって旨とするフランス語においては< >の使い方は確立しており、その文法的機能も義務教育修了者ならばたいていのものが説明できるはずだが、我が日本語では< >の使い方は恣意的なままであり、そんな記号を、フランス語で書かれた哲学書の書名にするという所業を、我々はどう解釈したらいいのだろうか。